カーラッピングフィルムはなぜ伸びる?
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こちらのページでは、カーラッピングに使用するフィルムの特性について紹介しています。フィルムが持つ熱可塑性に関する情報や、カーラッピングにおいて重要なポイントであるポストヒーティングについてまとめました。カーラッピングを検討している方は、ぜひ基礎知識として押さえておきましょう。
熱可塑性について
PVC(ポリ塩化ビニル)製のカーラッピングフィルムは、一般的に熱を加えると柔らかくなって伸びる、という性質を持っています。この性質は「熱可塑性」と呼ばれます。これは、常温では変形しにくいものの、熱を加えると軟化して整形しやすくなり、さらに冷やすとまた固くなる、という性質のことです。さらにPVC製のカーラッピングフィルムは、元の形状を覚えていて、元に戻ろうとする性質も持っています。
この性質を持っていることから、フィルムに熱を加えた後に引っ張ると伸びますが、冷えると伸びた状態のままになります。さらに、再度力を加えずに加熱した場合には、先ほど伸びたフィルムが勝手に縮んでいきます。
性質における注意点
カーラッピングを行う場合にはこの熱可塑性と呼ばれる性質を利用して、フィルムを曲面にぴったりとフィットさせていくわけですが、「熱をかけると伸びるものの、元の形状に縮もうとする」という性質には注意が必要です。
これは、一度熱を加えて伸ばしたカーラッピングフィルムが縮んでしまい、後から剥がれてくることがあるため。この部分については、「ポストヒーティング」と呼ばれる方法を用いてカバーしていきます。
ポストヒーティングとは?
ポストヒーティングは、上記の通りカーラッピングフィルムが熱を加えると戻ろうとし、剥がれてしまうのを防ぐための方法です。このポストヒーティングを正しく行うことで、カーラッピングが失敗するリスクを減らすことができます。逆に、ポストヒーティングのステップを飛ばしたり、この作業について知らなかったりすると、カーラッピングが失敗してしまうということもあります。 ここからは、ポストヒーティングが持つ効果などについて見ていくことにしましょう。
ポストヒーティングの効果を理解しよう
上記で説明した通り、カーラッピングに使用するフィルムは、熱をかけると伸ばすことができますが、元に戻るとする力も働いています。車には湾曲した部分が多くあるため、その部分にはフィルムを伸ばしてフィットさせることになりますが、こういった部分ではフィルムが元に戻ろうとする力が働くことになります。
この「元に戻ろうとする力」を取り除くために行うのが、ポストヒーティングなのです。
PVC(ポリ塩化ビニル)に含まれている可塑剤とは?
PVC(ポリ塩化ビニール)は、硬くて脆い性質を持っている点が特徴です。しかし、このフィルムの加工や強度をあげるために混ぜるのが「可塑剤」と呼ばれるもの。実はフィルムが伸びたり縮んだりできるのは、可塑剤を混ぜているためなのです。
可塑剤は、通常PVCに含まれていますが、一定の温度以上で加熱された場合蒸発してしまいます。こうなると、フィルムの熱可塑性がなくなることから、フィルムが伸びたり縮んだりすることができなくなり、伸びた状態のままで固まることになります。このような状態を作り出すためにポストヒーティングの作業を行っています。
ポストヒーティングに必要な素材は?
では、ポストヒーティングを行うためにはどのようなものが必要なのかを見ていくことにしましょう。
ヒートガン
ポストヒーティングを行う際には、まず「ヒートガン」と呼ばれる道具が必要になります。フィルムを伸ばしていく段階で熱を加える場合にはドライヤーを使用することができますが、ポストヒーティングを行う際にはドライヤー以上の熱が必要になります。無理にドライヤーで行おうとすると時間もかかってしまうことからドライヤーが故障するリスクもあります。そのため、ヒートガンを使用してポストヒーティングを行うことになります。
また、ヒートガンの他にも温度計が必要になります。ちなみに、この場合に使用される温度計は、離れた位置から測れるレーザー式のものがよく使用されます。
ポストヒーティングのやり方
ポストヒーティングを行う際には、ヒートガンを使用して該当の部分に熱を加えていきます。この時に加える温度はフィルムによって異なりますので、あらかじめ確認しておきます。
熱を加えすぎるとフィルムが損傷することがありますし、熱が少ないと十分にポストヒーティングを行うことができません。大体の感覚で行うと失敗することもありますので、温度計を使用してできるだけ目標の温度になるように調整します。
カーラッピングは専門業者に依頼するのがおすすめ
カーラッピングを行う際に知っておきたいフィルムの熱可塑性やポストヒーティングについて紹介してきました。ただし、カーラッピングについてはやり方を知っているのと実際に行うのとでは訳が違います。初心者が無理にカーラッピングをしようとすると失敗してしまう可能性も高いといえますので、大切な愛車のカーラッピングは専門業者に任せるのがおすすめといえるでしょう。